〈vol.2〉リュードヴァン【小山英明】さんインタビュー

第一線で活躍する先人たちは、どんなターニングポイントを迎えてきたのか。どこのサイトにも掲載されていないであろう、ワイン造りを目指したきっかけとワイナリー設立までの経緯をご紹介します。今回は、株式会社 リュードヴァン 代表取締役小山英明さんにお話をうかがいました。

 

 ▲株式会社 リュードヴァン 代表取締役小山英明さん

 

元々は安曇野市のワイナリーに勤務していた小山さん。在籍していたのは2003〜2004年の2年間で、2003年9月の仕込みから2004年の春先の仕込みまでを手掛けたそう。ヴィンテージで言うと2002年に前任者が手掛けたものを引き継ぐ形で途中から仕込みを行い、2003年ヴィンテージはほぼ小山さんが手掛けたことになります。

 

小山さんの造るワインは次々にヒットし、1,000円台のワインがネットで3万円になったとういう伝説のソーヴィニヨン・ブランが生まれます。「天才醸造家」と呼ばれるほどの腕前で、株式会社 あずみアップル時代に造ったソーヴィニヨン・ブランは、今も「幻」と称され、当時の長野県のワイン業界に激震が走ったと語られているほど。

 

あずみアップルでは、ワインの原料となるブドウは契約栽培のものを使用していたので、より恵まれた環境で自らブドウを栽培すれば、必ずより良いものができると確信し、独立を決意。

 

 

ブドウの栽培適地を探していた小山さんは、東御という土地に出会います。

長野県内の盆地は東向きまたは西向きが多い中、東御市は、千曲川が東西に流れる南向きの斜面で日照時間が長いのが特徴。中野市も南向きではありますが、標高が約400メートルと低かったため、候補地を東御市に絞ります。

 

 

2006年2月に安曇野市梓川村より東御市に移住した小山さんは、早速ブドウの苗木を植え、ワイナリー設立に向けて本格的に動きはじめます。

一番苦心したのは資金集め。2008年9月にアメリカの有力投資銀行である〈リーマンブラザーズ〉が経営破綻し、それをきっかけに世界的な株価下落・金融危機が起こったリーマンショック。さらに当時はワイナリーもさほど多くなく、ワイナリー設立に対する理解を得るのが難しいという環境の中、あずみアップルで手掛けた2003年のソーヴィニヨン・ブランと、2007年に自社畑で収穫したシャルドネから造ったワイン223本を持って出資者を募ります。

 

 2年半という歳月をかけて総計100名以上の知り合いに声を掛け、4,600万円を集めました。

当時の環境下でこれだけの資金を集められたのは、小山さんのワイン造りに多くの期待が寄せられていたということの表れ。ただ、出資金は一律100万円と横並びにし、筆頭株主をつくらなかったのは、自身が造りたいワイン造りを実現させるためでもありました。

 

最初に植えた苗木はシャルドネでした。なぜシャルドネかというと、シャンパーニュを造るという目的があったから。翌2007年にはソーヴィニヨン・ブランとメルローを植え、2008年にはピノ・ノワールを植えます。そして同年株式会社リュードヴァンを起業。2010年に念願のワイナリーを設立させます。

 

リュードヴァンでは2007年ヴィンテージから毎年シャルドネをリリースしていますが、ワイナリーが設立した2010年ヴィンテージのみ欠番しています。

当時、一番多く栽培されていたシャルドネですが、最も好ましいブレンドを完成させ、一刻も早くシャンパーニュ製法を極めたいと考えた小山さんは、2010年のシャルドネを単体ではリリースさせず、シャンパーニュの原酒用に確保。のちに、2010年、2011年、2012年のシャルドネをブレンドして初の本格的なスパークリングワイン(ヴァンムスー)を完成させましたが、ワイナリー設立年のワインが1本もないということで、当時は批判の声もあったそうです。シャルドネ単体でリリースした方がすぐに資金にもなるはずですが、あえてその道を選ばなかった小山さんは、自身の信念を貫いたんですね。それが、現在のリュードヴァンのこだわりにも繋がっているのではないでしょうか。

 

 

会社設立から10年以上の歳月が流れましたが、小山さんがブドウづくり、ワイン造りにおいて追求していることは、「いいブドウをいかに多くつくるか」という点。ブドウを一から育ててワインを造るのは、ブドウを買ってワインを造ることより、コスト面においても簡単なことではないといいます。

コスト削減や作業の効率化を図るため、機械をうまく機能させる仕事術を実践されていました。土手の草刈り機からはじまり、リーフカッター、株間の草刈り機、支柱を立てるバックホーン、雪かき用のサンドバスケット、剪定した枝を細かくするウッドチッパーなどの機械を導入しているんだとか。

畑の拡大と共に増やしてきた畑を管理するスタッフの人数は、現在小山さんの他に3名。一人当たりの栽培面積2haを実現させています。小山さんはさらっと「一人当たり2ha」とおっしゃいましたが、一人当たり1haが一般的な数値のようです。

 

また、自社のブドウ畑に加え、長野県が主体で実施しているワインぶどう栽培農地の造成を行う東御市祢津御堂地区全28haのうち5haほどを担当していて「将来的には、御堂をサポートするワイナリーが集まってワイナリー村のような組合をつくり、プレス機の共有化や、ボトリングトラック(※荷台に瓶詰めできる装置を搭載したトラック)の導入、農薬散布の一括化などができれば…」と話してくださいました。

御堂地区でのこうした取り組みが、いずれ他の地区で広まっていけば長野県のワイン業界もさらに活気に満ちていくといいます。

 

 

 

長野県内ではまだ珍しいシャンブルドットを2020年11月にオープンさせたリュードヴァン。ここからは、シャンブルドットについてご紹介いたします。シャンブルドットとは、フランス流の民泊のようなもの。

こちらが玄関。「一般家庭の空いているお部屋を貸し出す」というスタイルなので、基本的にはホストの小山さん自身も同じ建物内住んでいて、時間が合えば夜は一緒にリュードヴァンのワインを飲むことができるそうです。そして、朝食は小山さんが作ってくれるという贅沢さ。

 

お部屋を案内していただきました!!! 

 

 リュードヴァンのテーマカラーのブルーがアクセントになっている造り。家具や遊び心ある雑貨もかわいい。アクセサリーなどを置けるトレイもブドウの柄です。

 

 

シャンパン製造に欠かせない木枠(ピュピトル)を玄関の扉や照明、ミラーにアレンジされています。すべて、小山さんが作ったんだそうですよ。

ワイナリーレストランでリュードヴァンのワインと共にディナーを楽しんだ後、こちらのシャンブルドットに宿泊。最高の思い出になりそうです。

 

長野県の夕陽はアルプスへのサンセットがもっとも美しいといわれているそうですが、中でも東御市はサンセットポイントとしても有名で、シャンブルドットからの眺めが素晴らしかったです。夕陽がアルプスの山々のはるか遠くに沈む光景は、とても神秘的でした。 

 

一度訪れたら、また訪れたくなるような魅力あふれるワイナリーです。ブドウのこと、畑のこと、ワインのこと、いつも惜しみなく教えてくださる小山さん。

長野県には、そんなワイナリーがたくさんありますので、またご紹介できたらと思います。ブログをご一読いただいてから訪れると、また違った角度から楽しんでいただけるのではないでしょうか。

 

 

▼リュードヴァンワイン一覧

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