〈vol.5〉たかやしろファーム&ワイナリー インタビュー

第一線で活躍する先人たちは、どんなターニングポイントを迎えてきたのか。
どこのサイトにも掲載されていないであろう、ワイン造りを目指したきっかけとワイナリー設立までの経緯をご紹介します。
今回は、たかやしろファーム&ワイナリーの武田 晃さん、池田 健二郎さんにお話をうかがいました。

 

TakayashiroForm&Wineryとは…?

中野市のシンボルで「たかやしろ」の愛称を持つ高社山。
その南麓に自社畑を持つ4組の農家が出資し2004年に設立されたワイナリー。

代表取締役を務めるのは武田晃さん。
巨峰・りんご・桃の果樹栽培を経験してきたプロたちが、ワイン用ブドウの栽培に挑戦し、努力と試行錯誤を重ねながら、土地や気象条件との相性を品種ごとに探り、この地ならではのワインづくりに力を注いでいます。

その土地でつくられたワインを地元できちんと味わってもらい、ワイン文化に慣れ親しんでもらいたいという想いから、購入しやすい価格で販売することも大切にしている。

あくまで地産地消に重きを置きつつ高い品質を維持していることが素晴らしく、また、地元に愛されるワインづくりを教えてくれるワイナリーです。 

 

 

「余裕がないといい仕事ができないから、機械トラブルの時だけしか残業はしない」と話すのは2004年からNAGANOWINEを牽引してきた武田さん。

ワイン文化を地元に根付かせようと、品質を保ちながらも価格を抑える企業努力はなかなか真似できることではありません。

設立から10年経った頃からワインが定着しはじめ、結婚式の引き出物やおみやげなどに使ってもらえるようになったのだとか。

「会議なし、報告は立ち話で済ませる」という話もとても印象的で、多くを話さずともしっかりと連携が取れている証なのだと感じます。

 

続いて、執行役員の池田健二郎さんにもお話を伺いました。
執行役員といっても畑での作業や醸造など、最前線でお仕事をされています。

池田さんは、元々建築の勉強をされていましたが、ある方から熱心にワイン造りに誘われ<サンクゼール>に入社します。

1997年、自身が造ったワインを麻井宇助氏に褒めてもったことで<山梨酒造協会>が職場に見学・研修に訪れたこともあったのだとか。

その後、県外ワイナリーからのオファーもあったそうですが一番下から支えてくれる社長の存在が大きく、たかやしろファーム&ワイナリーに入社されました。

ワイン造りにおいて一番大切にしていることは、「この土地のテロワールを表現するために情報を入れすぎないこと。そして、技術を駆使しすぎないこと。」また、健全下でこそテロワールが出ると考え、栽培を安定させることも大切にされていました。

ブルゴーニュで一ヶ月の研修を受けた際、老眼のミッシェル・グロが比重計をみながら発酵が進むのをじっくりと観察する姿を見て、ワイン造りとはこういうところに宿るのでは?と感銘を受けたといいます。

彼の元で学べたことは大きな経験となり、今日のワイン造りにも生かされています。