〈vol.9〉カンティーナ・リエゾー【湯本 康之】さんインタビュー

第一線で活躍する先人たちは、どんなターニングポイントを迎えてきたのか。
どこのサイトにも掲載されていないであろう、ワイン造りを目指したきっかけとワイナリー設立までの経緯をご紹介します。
今回は、カンティーナ・リエゾーの湯本 康之さんにお話をうかがいました。

 


Cantina Riezoとは…?

飯綱町の〈サンクゼール〉で栽培/醸造に携わっていた湯本康之さんが2015年、高山村にはじめて設立したワイナリー。

イタリア/トスカーナなどで修行を積み、2007年から標高620メートルの自社畑でシャルドネとメルローの栽培をはじめ、2009年から2010年にかけて、日本では珍しいイタリア品種バルベーラを植える。

乾燥した気候のイタリアと違い、日本は梅雨や秋雨があるためイタリア品種を育てるのは難しいが、『十分に手を掛ける』ことに常にこだわり、イタリアとの環境の違いを補う最大限の努力を怠らない。

将来的にはこのバルベーラやドルチェットを使ったワインを、Cantina Riezoを代表するワインに据えていく。

ワイナリー名の“リエゾー”は、これまでの苦難を共に乗り越えてきた奥様リエさんの名前から命名し、また、ワインラベルには三人の息子さんをデザインするなど、湯本さんの家族に対する愛がいたるところに感じられます。

 

 

カンティーナリエゾーの代表湯本さんがワインをつくる上で大切にしていることは、自分たちだけで畑を耕し生活の一部として自然体でワインをつくること。

ヨーロッパの田舎で見た何気ない農家の日常こそが、湯本さんのワインづくりの原点です。

畑に機械や軽トラを入れないことで、土をやわらかい状態に保ち、微生物が活動しやすい環境を整えます。

また、醸造においても、最新鋭の機械ではそれを使う人の個性やその土地の個性を表現できないのではないかと考え、寸胴のタンクを採用。タンク内の温度管理は蔵の温度に委ねます。

冷涼な高山村では、乳酸発酵が始まるのは春先から初夏にかけてと発酵のスタートが遅く、勢いも穏やか。高山村の自然環境に合わせ、時間をかけて丁寧にワインを造ることも、この土地に合った醸造方法だと考えます。

この土地でしか表現できないこと、湯本さんでしか表現し得ない個性を備えたワインは、どれもとても魅力的です。

 

 

 

最後に、湯本さんから飲み手の方に向けたメッセージをご紹介いたします。

 

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弊社のワインはクラシックなワイン造りをモットーとしています。

例えるなら、伝統的な保存食である大根や野沢菜の

漬物を家庭で作るような感覚のワインです。

各家庭で独自の作り方があり、作る環境も保存する

環境も違う、それこそが個性だと考えます。

ワインの中にぶどう品種の個性だけではなく、

それら諸々の個性を感じていただけたら幸いです。

 

合同会社カンティーナ・リエゾー 代表/湯本 康之